君の物語に

BY JAO

時と空間。本来は幻想なのだがとりあえず現代の日本、私のいる場所と時間としよう。
ある一部の人にとって、時間と空間は「今、此処」という自覚のもとで無意味である。

主人公はだれか? これも誰もが自分と答えるべきなのだろうが、「今此処」に住む人にとっては自分しか存在しないので、自他の区別はなく主人公は誰かという問いかけさえ成り立たない。

君の世界は君の言葉で語られるべきである。
なぜなら君の世界は君の言葉から生まれるのだから。

さあ君の物語を始めよう。何よりも気高く歓喜に満ちた物語を。
主人公は君だ。他の人々はいるのだが、実は全ての他の人は君である。皆が主人公といっても良い。全てが君である。つまり君以外誰もいない。そして必要なキャストはすべてそろっている。

 

皆が求めるような便利さだけの仮想空間や無理やり理想に近づけた作り物の人物などで君の世界は作れない。語るべき物語も生まれない。

生身の人生。
苦悩に満ち挫折の連続する人生はかもしれない。何も成し遂げることなく無為にみえる一生かもしれない。平凡でありふれた安逸な旅かもしれない。

 

しかし君に告げよう。君の人生は常に君と同じように素晴らしい。
誰でもいつか必ず悟るのだ。この生が至福の時であったことを。

君の来し方が全て君の思い通りであったことが。
心から「これで良かったのだ。これが私なのだ。」と笑顔で胸を張って迎える日が来る。

 

君の物語はいつからでも始められる。いつでも準備はできている。君が選択しさえすれば今からでもすぐ始められる。

もし上手く語れないと不安に思っている君がいるなら、
それは、君は全て満たされているのだが、ただ一つだけ欠けているものがあるからだ。

君は「君」の代わりに「不安」を選んだのだ。
そう、君の物語を語る「君」が欠けているのだ。

 

しかし焦ることはない。君がそのことに気付くのに「遅すぎる」ということはない。
君の時は「今」だけであり、過ぎてゆくものでもやってくるものでもないのだから。
君が「今」この時を手にした時、君は不安でなく君自身を選んでいるのだ。

 

さあ君の物語を始めよう。
「私は私であり全てである」
「私はどこにもいない。ここにいて遍くところにいる」
「遍くところにいる私は遍く時に在り永遠と呼ばれる」
「私は私であり全てである貴方である」

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