栄光のボクサー 八重樫東

5日はボクシングの注目試合が3試合。「枯れ木も山の賑わい」的な安売りの試合ではなく、それぞれ興味深い試合だった。

村田諒太君
プロ5戦目のノンタイトル10回戦で、WBC同級21位のアドリアン・ルナ(メキシコ)を3-0で判定勝利。
だがこの試合は勝利と呼べぬ厳しい試合。持久力と耐久力はあるというところは見せられたが、それは直接ボクシングとは関係ない。
前回は序盤だけだが成長の跡が見られた。だが、今回は攻撃面で見るべきものは全くない。何の練習をしてきたんだろう?
これで世界挑戦は無謀というもの。周りが井の中の蛙に仕立て上げているのではないか?
上半身も下半身も力が入って柔軟性が全くない。これは先天的なもので限界があるかも知れない。
そうはいっても、回転力を利用した攻撃・防御がまったく身についてない。右ストレート一本やりでこれ以上は望めない。

井上尚弥君
ライトフライ級王者の井上尚弥(大橋)は、挑戦者の同級13位サマートレック・ゴーキャットジム(タイ)を11回1分08秒にTKO勝利。
「減量がきつく思うようなボクシングが出来なかった」というが、それは相手の思わぬタフネスぶりにそう思わされただけ。
見た限りでは、自由自在、やりたい放題、相手にとっては屈辱的な試合のはず。まあ天才ボクサーならではのコメント、としか言いようがない。
まだ21歳、2~3階級上げてもその力は群を抜いていると思う。

八重樫東君
世界ボクシング評議会(WBC)フライ級王者の八重樫東(大橋)は、3階級制覇を狙った同級1位のローマン・ゴンザレス(ニカラグア)に9回2分24秒でTKO負け。
この試合、誰も勝敗のことは考えていなかったと思う。
八重樫の男気に感動して、「誰もが拍手を送り、試合を受けるのを止めなかった」事で実現した試合。
ロマゴンはプロアマ通じて126戦無敗。プロだけでも39戦39勝33KO。
あまりの強さにどのチャンピオンも対戦を避けてきた孤独な天才ボクサー。
一方八重樫は、真の王者でいることを求めた孤高のボクサーといっていい。

ロマゴンの強さは周知のもの。
だがこの試合で八重樫は、ロマゴンを追い詰め勝利の涙を流させた。八重樫は強かった。

ロマゴンは強い。八重樫に回転の速い重いパンチを的確に打ち込む。
レフリーストップがかかってもおかしくない状況が何度もあった。
だがその都度八重樫は反撃し、ロマゴンをたじろがせた。レフリーも止めるに止められなかったのだろう。
セコンドがタオルを投げ込んでもおかしくない場面もいくらでもあった。
だがタオルは最後まで投げられなかった。間違いなく八重樫の希望だったのだと思う。

試合は大方の予想通りロマゴンのTKO勝利だったが、その内容は大方の予想をはるかに超える素晴らしいものだった。
「八重樫は強かった。今までで一番強い選手だった」
このローマン・ゴンザレスの言葉は、チャンピオンベルトより価値ある勇者の勲章。八重樫よ堂々と胸を張れ!

勝って泣くもよし、負けて笑うもよし。負けた八重樫の笑顔のさわやかさ。
スポーツは結果が全てだと思う人はあわれである。この試合はそれを証明していた。

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