1997 フィリッピン(6)

by ハッチョ

アクア・トロピカル・リゾートの従業員は皆家族のようなものである。”ようなものである”以上に、本当に家族や親戚といった身内がここで従業員として働きながら生活している。だから小さな子供もたくさんいる。ここで生まれ・成長し、結婚し、子をなして死んでいく者も結構いそうである。

”T先輩”とお笑い結婚式を挙げたジェシカだが、もし本当に「俺について日本に来るか」と言えば、一族郎党集まって協議はするだろうが結論の想像はつく。
日本人は金持ちだ。”T先輩”は男前だ。

「そりゃあ目出度いことだ。日本に行って幸せになれ。しかしフィリッピンにいる家族のことも忘れてはならぬぞ」となるに違いない。

「そろそろお開きにするか。飲みたい奴は部屋に帰って飲めばいい」となった。旅行中に限らず外で飲む時はいつも飲み足りない”T先輩”はどうせすぐに寝はしない。我々はいつも2~3名ずつの相部屋だから、部屋でダラダラと飲むのが習慣になっている。
思わず”T先輩”が嫁さん(ジェッシカ)に「わし等の部屋に来るか?」

「あ~あ、言っちゃったよ」 同室の俺はどうすりゃいいの?

部屋に誘われたジェシカもまだ子供だ。20歳くらいのお兄さん風の従業員に「部屋に行っていいかどうか」訊いている。どうやら”ひなんクラブ”は無害と判断されたようで「O.K.」ということらしい。

とは言うものの、新郎とその新婦の部屋に同席するのも何となく気が効かないようで気が引ける。「もう少しの間二人きりにしてあげようか」などと余計なことを考えていると、もう一人の同室者”O”さんが「わしゃ疲れた。もう寝るで」と新郎新婦の横でいびきをかきだした。

おごそかな新婚初夜の雰囲気は完全にぶち壊し。おかげで私もすんなり寝ることが出来た。
その後二人は・・・寝ちまったから判らないが・・・何にもあるわけないか。

”T先輩”の名誉にかけて一言いっておくが、彼は決して変な意味で誘ったわけではない。仲間なら皆知っているが、酔ってそんなさもしいことを言うような男ではない。
本音は男でも女でもいい「飲み仲間が欲しいだけ」なのである。

普段でも夜の街に飲みに行くと、仲間さえいてくれれば”午前2~3時になるのはざら”という酒豪でである。(酒豪というのとも少し違うかもしれない。一人で飲むのが嫌いなのだ。本当は寂しがり屋なのかも知れない。)
実は、私など最近は12時前には理由をつけて帰らせてもらう。時には何も知らぬ犠牲者を置き土産に帰らせてもらうこともある。そんなわけで、決して変な意味でジェシカを誘ったわけではない。

”T先輩”には死に別れた奥さんとの間に息子が二人。当時は両親も姉さんも同居していたから、はたから見れば「嫁さんがいたほうが楽だろうに」と思うが、彼の性格・美意識からはそうも行かない。
幾ら若くて美人のフィリピーナでも、いやフィリピーナでなく日本人であっても嫁はもらわないだろうな。(ああ、大きなお世話、いらん事を書いてると自分でも思う)
ま、元々”もて過ぎたか”ら神様がうまく配分なさったのでしょう。
(いずれ共に年金生活になりこの国にでも住むようになったら、その時は・・・・・)

結婚式の翌朝の風景。みな飲み過ぎ・騒ぎ過ぎで少々疲れ気味。
楽しかったアクアトロピカルリゾートとも今日でお別れ。バンブーダンスもしたし、スキューバダイビングもしたし、結婚式まで挙げた。

おそらくもう一度来ることもないだろう風景の見おさめです。

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