カテゴリ:詩、エッセー、小話

朝の異変

by 匿名A

すがすがしい朝のさわやかな光の中、
ゆっくりと伸びをして起き上がる。
こんな一日の始まりには熱いコーヒーが似合うだろう。 続きを読む



慟 哭

慟哭   byシジミ

私は人知れず なお故知らず慟哭することがある 

夢を見る
   見知らぬ人が来て云うのだ 「お前は人を殺したのだ」と
   身に覚えなく 何を馬鹿なと 一笑に付すうち
   はて 何故かの人はあんな事を云うのだろう といぶかしむ
   いつしか不安はつのり もしかして私自身知らぬ間に
   いや 自ら記憶の奥に封印したのか
   かつて本当にそんな事があったのだろうかと 

   恐る恐る胸の内を丹念に探るうち
   「私は 確かに 誰かを殺したのだ!」
   フラッシュのように鮮やかに記憶が甦る
   取り返しようのない罪におののき 恐怖が全身を包む 続きを読む



眠れぬ夜

by シジミ

眠れぬ夜は、チリチリと
届かぬ胸の奥底で
小さな青い火が燃える
冷たい青い火が燃える

届かぬ胸の奥底の
小さな冷たい青い火は
記憶の沼の水面に
浮かんでは消える
もどかしく、思い出せない思い出
狂おしく、忘れられない思い出

思い出せ! 忘れるな! 
一体誰と戦っているのか
闇の中で一人
なすすべもなく身構える 

眠れぬ夜は、ジリジリと
届かぬ胸の奥底を
小さな青い火が焦がす
冷たい青い火が焦がす



金木犀

by もう老年

ついこの間、ほんの半月前まで
まるで秋らしくなかったのに
急に寒くなった今年、

ふと気がつけば
金木犀の
あの甘やかな香りに
つつまれた記憶がない。

もの心ついた頃から
「私は、他の誰よりも
木犀の香りを愛している」
心秘かにそう思っていた。

しかし今年、そんな私を置き去りにして
一瞥もくれず季節は私のそばを通り過ぎたのだ。

実に気前よく
当たり前のように与えられていたものを、
ある時を境に前触れもなく奪ってしまう。

残酷な、あまりにも残酷な仕打ちではないか。

秋の日の終わりに、諦めるしか術はない私よ
ああ、もう風の声に耳を傾けるのはよそう。
静に静に落日を待つのだ。



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